子育て応援メッセ2008 実施レポ

パパの子育てトークライブ

登壇者ご紹介

・ 出 演 : 以下の4人のかたに登場いただきます。

(パパ代表:藤田学博)

会社員・20代・子供1人(1才8ヶ月・男・週2日保育園)。妻はこの春から週2日パート勤務。妻が仕事のときにはフレックスを利用して保育園の通園も担当。会社も子育てに理解がある。 

(パパ代表:佐藤雅光)

会社員・30代、子供1人(5才7ヶ月・男・幼稚園年長)、妻はフリーランスのイラストレーター。平日は仕事中心の生活。そのぶん土日などの休日はこどもと一緒に過ごす時間を大切にしている。

(ママ代表:増山徳子)

フリーランス&団体職員・30代・子ども1人(3才9ヶ月・女・保育園)、夫は会社員。この春、子ども中心の暮らしから、仕事と子育てのバランスをとる生活に移行し試行錯誤中。

(司会進行:後藤弘美)

家族・子育て相談室「ゆずり葉」・不登校相談「オープンスクール☆Wish」代表。臨床心理士として家族カウンセリングなどを行なう。

トークを全部ご紹介

9月27日(土)に開催されたパパの子育てトークの様子をひとこともらさずお伝えします。当日登壇いただいたのはパパ代表の藤田さん、佐藤さんのお二方とママ代表の増山さん、そして司会をしてくださった後藤さんの計4名。


各家庭の子育てや夫婦関係について刺激的な発言が続きます。

皆さんの家庭と比べながら、参考になる話もあるかもしれませんね。

どうぞお楽しみください。

 

トークショー登壇者のご紹介

後藤 今、少子化とかって社会的な問題にもなっていますけども、これからの日本を背負う子供たちの数がすくないというのはやっぱり問題ですよね。とはいえ、子供を作った方が育てようといわれても、なかなか家庭という現場で毎日子育てを繰り返すということは、いろんなことがあって大変だと思うんですね。今回企画しましたのは、普段なかなか聞けないパパ達の子育てに関する考えとか気持ちとか、そういうものを是非一度聞いてみたいなぁということで企画しました。
今日はパパ代表で二名、それから一応ママ代表もいたほうがよいのではないかということでママ代表でお1人加わっていただきました。

 

私のお隣から、藤田学博さんです。

会社員の方で20代、お子さんはお一人で、1歳8ヶ月の男の子がいらっしゃいます。奥様は週に二日パートをされていて、その二日の時にお子様は保育園に行ってらっしゃいます。そして、保育園の通園などのお手伝いをお父様がされていらっしゃるということです。因みに藤田さんは、会社の方がとても子育てにご理解のある会社とうかがっております。よろしくおねがいします。

 

そのお隣が佐藤雅光さん。

会社員で30代の方です。お子様がお1人で、5歳7ヶ月の男の子です。幼稚園の年長さんですね。奥様がフリーランスのイラストレーターをしていらっしゃいます。ほとんど、佐藤さんは、平日はお仕事ということで、ご帰宅も大体夜11時位というふうにうかがっております。そのため、土日などの休日はお子さんと過ごす時間を大切にしていらっしゃるというふうにうかがっております。佐藤さんよろしくお願いします。


そしてママ代表の増山徳子さん。

フリーランスと団体職員をなさっています。30代です。子供はお1人、3歳9ヶ月の女の子です。お子様は保育園に行っています。ご主人様は会社員です。そして増山さんは、この春からお仕事をされはじめて、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」ですよね。仕事と子育てのバランスをとる生活に移行して、今日々試行錯誤中ということです。ご主人様は平日の保育園の送迎を、たまにやってくださるというふうにお話をうかがっております。増山さんよろしくお願いします。


私、本日司会進行をさせていただきます、相談室「ゆずゆは」代表の後藤と申します。

よろしくお願いします。

 

 

パパの子育てでうまくいかないところ

 

後藤 さっそくですが、今ご家庭でパパが協力できていることを少し紹介させていただきましたけれども、子育てにおいて、手伝ってもこんなところがうまくいかないとか、こんなところがちょっとうまくできないというところがあったら、ちょっとお二人からお聞かせいただけますか。


藤田 ご紹介いただきました藤田でございます。

 

私個人的には非常によく子育てできているなと勝手には認識していますが、やはり妻から見ると、少し気に食わないところが多いのが現状です。

 

土日に子供を見てくれとよく言われますんで、やはりこちらも色々やりたいことがありますので、テレビを見ながら子供を見ていたり、本を見ながら子供を見ているわけですが、小さいとちょろちょろ動き回って、やれ机のうえにある水をこぼすだとか、椅子の上に上ったりしてますけど、見てろって言われたから見てるだけで、危なくないし、「まぁいいかなぁ」とやっておりますけど、やっぱりそれが妻の目に留まると、「何やってるの?」と、非常に怒られることが多いかなぁというふうに思っていて、僕は僕の哲学で子供を育てるつもりですが、まぁ妻から見ると気にくわないことがあるのかなぁと思っています。


土日になりますと、私も最近はなかなかパチンコに行く時間ももらえませんので、ゲームセンターに行って遊ぼうと思ってゲームセンターに行くんですが、たまに妻と子供が一緒に買い物に行って、ゲームセンターの前を通るとすごく喜ぶらしいんですね。で、これまでこっそりゲームセンターに息子と行っていましたが、最近それがばれてすごく怒られました。個人的にはこんな小さい子供何もわかってないはずですから、まぁゲームセンターもいいかなぁと思いますけど、教育上よくないというふうにいわれていて、それがなんとなくしっくりこないという今日この頃を送っております。

 

後藤 生々しい実体験ありがとうございます。続いて佐藤さん、聞かせていただけますか。


佐藤 どうぞよろしくお願いします。

 

できてないことを紹介ということなのですが、今子供は5歳ですが、3歳くらいまでできていなかったことというのは、かみさんがイメージしていることがよく分からなかったということがあって、自分なりには子供を外に連れてったり、お風呂に入れたり、かみさんが週末に1人の時間が作れるように色々配慮していたつもりだったんですけど、どうも全然足りなかったようで、終始怒っていたというのが非常に伝わってきて、怖かったなぁということがあったんです。

 

先ほど平日仕事中心の生活とありましたが、残業か飲みかで大体11時か12時位に毎晩帰ってきていたんですが、ふと、かみさんの手帳を見たときに私が飲んだ日は「飲み」と欄外に書いてあって、記録されてたんです。これは怖いなぁと非常にびっくりした覚えがあります。


もう1つ言うと、思い出したように子供が3、4歳の頃に言われたのが、0歳か1才くらいのときって、毎晩おっぱいが欲しいときに子供が泣くんですが、その時に、特に飲み会から帰ってきた日だと思うんですが、私が横でちっとも気づかずにぐーすか寝てたと、それは絶対一生忘れないと、事あるごとに言われたということですね、リマインドされて非常に恐ろしかった。つまり、できてないことがずいぶんあったんだろうなぁと思っております。


後藤 皆さんの暴露本が書けそうですね~。

本当に思い切って覚悟を決めてお話くださってありがとうございます。感謝いたします。

 

佐藤 覚悟を決めています。

後藤 では続いてママ代表の増山さん、ママから見てのお話をお願いします。

増山 そうですね、飲み会のことを佐藤さんもおっしゃっていたんですけど、うちも非常に飲みが多くて、やっぱりそれがきつかった。

 

今はさすがに3歳でおっぱい飲んでないのでいいんですが、私は母乳だったので自分はお酒があまり飲めない。なのに、旦那は週に2回も3回も飲み会に行っている。

 

私は色々な友達に誘われても全部断っている。なぜに、あなただけ週に2回も3回も平気で行けるの?ということがありました。


あとは、4月から私が外に、今まではフリーランスだけだったので自分のペース、子供のペースにあわせてちょこちょこやっていたのが、団体職員になった。そのことで週に3日ないし4日、外に決まった時間に出勤し、出勤する前に子供を預け、そして出勤して子供をピックアップしてということをやるという、新たな生活が始まったんです。

 

私は仕事に行くまでに非常にたくさんのことをやっていかないと仕事にいけない。ここでちょっとだけ不満を言うと、主人は基本、ベース仕事っていうのがあって、もちろんあちらの方の給料が高いということもあるんですけど、やはりそこの負担の部分というのが、ちょっとなかなか今皿回ししているような状態で、どういうふうにその皿を分け合っていったらいいのかなぁというので、試行錯誤中といった感じですね。


ちょっと専業主婦っぽい所から、今移行しているところなので、どういうふうに家庭の中の「ワーク・ライフ・バランス」をしていったらいいのかなということを試行錯誤中です。


後藤 ありがとうございました。

 

やはり、その時その時の、パパが会社員であれば形は変わらないのかもしれないけど、ママがお仕事についたり、パートについたり、それが無かったりというのはかなり生活が変化しますよね。その生活の変化の中で、やっぱり子育てのシェアの仕方とか、協力の仕方っていうのは、それぞれいろんな形が出てくるんですよね。そこが今試行錯誤中なんですよね。わかりました、ありがとうございます。

今うかがっていると、ちょっと気がついたのは、要するにパパとしては子育てのお手伝いをしてるんだけれども、ママがこういうふうにしてほしいのよね、こういう形でやって欲しいのよねというような思いとずれがあるのかなぁという気がするんですよね。

 

そこの子育てのやり方、方法というところにおいては、そのずれを幾分か軽減するための工夫っていうのは何かできているんでしょうか?

 

パパとママの気持ちのズレを軽減する工夫

 

藤田 そうですね、今のお話ですと、ずれというよりは、ずれがあるにしても、とにかく今思っているのはとりあえず嫁さんの機嫌をとらないといけないなぁと思っておりまして。


私には仕事が二つあって、まず昼間は会社で働いて、夜帰ってきたら嫁さんの話を延々に聞くっていうのも仕事かなと思っています。

また、嫁さんというのは話が長くてですね、1つの話にしても、一言二言で終わることを延々20分30分使って30分くらい延々にしゃべり続けるという、まぁそれも彼女にとってはひとつの息抜きだと思えばやろうかなぁと思っていて、そういう意味では、子育ての不満とかも正直にぶつけてるのかなぁと思いながらも、うまくまとまればいいなぁと思っているのが正直なところで。とはいえ、それで本人が息抜きになっていればそれでいいのかなぁというのを僕は思っています。

あと、自分自身の子育てについて言うと、私自身は基本的に、今1歳8ヶ月ですけど、子供といる時間はすごく楽しいですので、休日に家にて、僕なりの子育ての仕方を嫁に見られて怒られるよりは、外に出て、こっそりいろんなことをやって、ゲームセンター行ったりですね、そんなことをする方が、嫁に怒られなくていいので、個人的にはとりあえず外出して嫁の前から姿を消すことにしています。

後藤 色んなことをしながら工夫されているんですね、ありがとうございます。

佐藤さん、いかがですか?


佐藤 工夫していることですけど、家事の面で工夫しているというか努力しているところで、多少心を入れ替えて、家事を少しやるようにし始めたと。


例えば、週末の皿洗い、洗濯、洗濯物の片付け、たまには掃除しようかなとかですね、あとは汚くなったときにマンションのベランダを掃除するとかですね、週末は時々子供と外に遊びに行って、かみさんに外との時間を作ってあげたり。今朝は午前中にとってつけたように、出掛けに皿洗いと、洗濯と、ベランダ掃除をしてきたんです。彼女は「当然でしょ?」という感じでしたけど。そんなことで努力はしていると。


こういうことをちょっと考え始めたのは、彼女は時期が違うっていうかもしれないですけど、確か3歳くらいの年末に大喧嘩をしまして、家事とか子育てとかっていうところで、妻との役割比率みたいなところが、ギャップがありすぎて、それで大喧嘩になって、ちょっと揉めたことがあったんです。

 

その時にちょっと価値観が明らかに違うなと、前提が彼女の家庭と私の家庭で、父親を見て、彼女の方は比較的家事をしたんですけど、うちの父親はちっとも家事なんかしないで、昭和1桁の男でしたから、ビール飲んで寝てるということがあって、それを押して私は何もしなかったということが正直あったんですけど。それは違うなと、大喧嘩して明らかに価値観が違うなと、そこで、多少あきらめもあって、家事を少しせないかんなと思い始めたというふうに思い始めて。まぁそういったところで少しずつ工夫はしています。

 

後藤 ありがとうございました。

確かに今佐藤さんがおっしゃったみたいに、子育ての大元が、自分がどう育てられたかということもモデルになってますから、やはりお父様が家事をなさったという奥様側のお父様ですよね、それと佐藤様ご自身のお父様が家事をなさらなかったというところ、そういうところが自然と親から継承されてるわけですよね。ですから、そういうことであって自分の親に自分がどう育てられたのかなぁっていうのを見ていくのも面白いかなぁと思います。

 

増山さん、今の工夫のところ、いかがでしょうか?

 

増山 そうですね、うちのパパの場合は、ご飯を作るというのはやらないんですが、掃除とか洗濯とかごみ捨てとか、そういうのは私以上にできるんじゃないかというくらいできる人なんです。

 

それはすごく感謝していて、すごく手際もいいし、頑張ってくれてるなぁと思うんですが、さっきのところで不満のところで、保育園の送迎でなかなか、藤田さんは週2日行ってらっしゃるということなんですけど、うちの主人は私が市内の職場ということもあるのかな、彼は都内…あ、同じですよね?ちょっと行ってくれないんですけど。

ただ、先日保育園の夏祭りがあって、その時に私がたまにしかない出張で私がどうしてもその行事に行けなかった。それで、主人に「私が行けないから、その役割をやってくれ」と言ったら、まぁ役割がちゃんと与えられていれば、テントも張り、スーパーボール売りなんかもやったのかな、後からママ友からも「よく頑張ってたよ」と言われたんですが、だから、何か役割とかきっかけがあれば、やってくれるのかなって思ってます。

 

後藤 ありがとうございました。


藤田さんのところね、奥様の話をなにしろ聞くのだと。それは仕事かなと思っていらっしゃってましたけど。奥様の話をお仕事から帰ってきて疲れているでしょうに、延々と聞くんですよね。それを、大切にされているのは、やっぱりそれから何か得るものがあるんでしょうか?


藤田 そうですね、そういう意味では、とりあえず長いので、多分10話しても意味のあるのは1くらいじゃないかなと思ってはいるんですけど、その1の中でも、8くらいは聞き流しますけど、2くらいは聞いているかなと思いますね。

 

やはり、子供のことを私は一日中見ることができませんので、そういうところで子供の成長に気づいたところとか、あとは、私も彼女も出身が富山県で、こちらへ上京して今新浦安に住んでる状況ですので、浦安市はそういう意味ではすごく子育てのネットワークが色々あって、彼女自身も色々と友達ができて嬉しいようなんですけど、そういった中で、今後の子育てのこともあったでしょうから、そういった話をする中で、「こんなことを思ったんだ」というようなことは、ほんのちょっとだけ聞いてるつもりになってます。

 

後藤 ありがとうございます。

 

 

藤田 そうですね、まぁそういう意味では非常に、私がどうかっていうことはわからないんですけど、そこまですごく悩んでやっているという印象は本人にはないかなぁと思いますね。

 

後藤 そういうことで、話を聞くということでサポート体制ができているんでしょうね。わかりました。

 

藤田 やっぱり話聞かないと、ご飯を作ってもらえなくなりますので、そこは重要ですね。

 

後藤 そこ、大事なポイントなんですね。わかりました。佐藤さん続いてお話聞かせていただけますか?

 

佐藤 今のテーマでですか?

 

後藤 子育てがうまく自分の中でできてないというところもあり、その代わりというか、それを埋めることに意味もあって土日休日にお皿洗ったり洗濯したりとおっしゃいましたよね?それっていわゆる家事ですよね、子育てとは違う、家事というところでちょっと補完するという、そういう形もあるんですか?

 

佐藤 そうですね、まぁ彼女に言わせればちっともやってないという話になるんでしょうが、家事に関しては自分なりには少しずつ増やしています。


ひとつだけ言いますと、よく彼女に言われるのはできない約束はするなということがありまして、約束したからには守れ、まぁ当然なんですけどね、できない約束はするなということで、一度、飲み会ですとか、前日までにカレンダーに「飲み」と書く、当日の誘いは原則断る、五時以降の誘いには乗らないで帰ってくると語ったんですが、それを一度破ったら、自分で決めたことをなぜ守らないと散々怒られまして、それ以降家事の分担は自分から「これはやります」ということをなるべく言わないようにして、できる範囲で少しずつ増やして、言質を後で取られて、言った言わないということを言われないように、日々気をつけて、少しずつ家事をしていくといった感じです。

 

後藤 ありがとうございます。そういう中で子育てのところで、平日お忙しいしお帰りも遅くてなかなか協力ができないんだけど、土日休日には家事を少しお手伝いするというところで、奥様の態度とか表情とか言葉とか、そういうのがやっぱり違うなということは、感じるところはあるんでしょうか?

 

佐藤 この点の感想は片思いかもしれませんけど、すこしずつ柔らかくなってくれているんじゃないかと私自身は思っていまして、微妙ですが以前より顔がこわばる回数は減ったのではないかと思っています。


具体的に変化があったのは、3歳4歳になって、子供もコミュニケーションがずいぶん取れるようになって、男親の勝手なところだと思うんですけど、うちの子男の子ですから、遊び上手になってくるとだんだん子育てもわかりやすくできるようになってくる。0歳1歳ですと、男親として何をしていいか、いまいちよくわかっていなくて、彼女はあれをやれこれもやれと、色々思っていたと思うんですけど、できるところも少しずつ増えてきた。あと家事も平行してやり始めたということで、顔がこわばる回数が減ったのではないかと思っています。

 

後藤 ありがとうございます。

 

 

妻と夫のコミュニケーション


後藤 増山さんは、生活のスタイルも変わりつつある中で、ご主人様が手伝ってくれる時というのは、増山さんが「これしてくれる?」とか、具体的にお願いする中で、ご主人ができていくというようなスタイルなんですよね?

 

増山 それが、具体的に指示を出せばいいんですが、ちょっと佐藤さんの話にも繋がるんですが、具体的に指示を出した場合、喧嘩に発展する、火種になるということもあるし、お互いあんまり「何々やってよ」というのは言わないようになっているんじゃないかなぁ。それは今、会話をしていて、このトークをやってて思ったんですが。


あとは、藤田さんのところはすごくお話を聞いてるとおっしゃってたんですが、うちは結婚10年過ぎているということもあるんでしょうけど、段々業務連絡のようになっている。「明日何時に起きる」とか、「今日は飲み会あるの?ないの?」とか。そういうふうになってきちゃってる傾向がありますね。よくないんですけど。

それで、具体的に何々をするっていう宣言、女側の宣言っていうか、今私は仕事を始めたから、女の部分男の部分という言い方はおかしいけど、私自身も今まで家庭人だったパーセンテージが、だんだん仕事人モードに入ってくるわけじゃないですか。私もはっきり約束してしまってできない場合というのが発生してくるから、こっちの気持ちもわかる。でも、家庭人としてはそれじゃ回らないんだよって。家庭っていうのは毎日あるわけでそれをやっていかないと生活が回らない。家事ってそういうものだから、お皿を洗わなかったらそのまま残ってるし、洗濯しなかったらそのままだし、仕事も同じですけど。話が脱線しちゃいましたが、言っちゃうとそれで絶対やらなきゃいけないみたいになっちゃうから、お互い上手く「あっ、あっちが今お皿洗ってるからこっちは洗濯畳んで」とか、そういうふうに口に出さないで、空気でやっちゃうこともあるんだけど、それがうまく行っている時はいいけど、ダメになった場合は冷たい空気が流れる。


後藤 わかりました。

 

増山さん、同じ女性としてとてもよくわかるんですけど、要するに、「これをやってよ」っていちいち言わなくても、同じ子供の親として、親という立場で、「今、何が子供にとって必要か」とか、「今この家庭において、何をするべきか」ということは言わなくたってわかるでしょ?ということですよね。
そこのところなんですけど、パパとして、男性として、そこのところは察知できるんでしょうか?


藤田 言わなくてもわかるかということですよね…
そういう意味では、私なりには結構察知しようと思ってますけど、察知しようとするんですけど、最後の砦というのは嫁さんだなぁと思っていて。例えば子供を寝かしつけるとか、じゃあ一緒に布団に入って僕が寝かしつけようとしても、大概私だけ先に寝てしまって子供はびぃびぃ泣いていると。それで、びぃびぃ泣いても基本的に私は布団に入ると朝まで起きないので、その後誰が寝かしつけしてるかというと、結局嫁さんがやっているんだろうなぁと思うと、協力したいとは思っていても、そこまで自信もってやれているかというと、非常に悩ましいなぁとは思っています。


後藤 わかりました。

 

佐藤さん、さっきのお話でご自分のお父様が、家事とか子育てとか、いい悪いではなくてなさらない方だったということで、ご自分もそうなのかなと思われたとおっしゃってましたよね?


佐藤 はい。

後藤 そうすると、佐藤さんの中でも、気持ちとかあるんだけれども、ちょっとうまく動けない、言われないと難しいということがあるんでしょうかね。

 



私なりに言われなくても察知して、やっていることはいくつかあります。

 

例えば、夜中に帰ってきてパソコンで友達のメールに返信をしようとすると、パタパタパタパタキーボードをならさなきゃいけないんですが、それが、さもうるさそうに隣で寝ているかみさんが寝返りをうつんですよ、大きく。「あ、やっぱり、うるさかったなぁ」と。私は察知して静かにやっているつもりなんですが、やっぱりうるさかったみたいで。どうもうるさいらしい。そういったところで、的を外しちゃったりするんですけど。

あと、たまに早く帰ると、子供をちょうど寝かしつけなきゃいけない時間だということで怒られるわけですよ。それも察知して、始めた工夫というのは、「今、帰っていい?」ってメールを出す。でも、なかなか返事が返ってこない。まぁ一時間弱くらいで家まで着いちゃうので、もう一回玄関の前で、「入っていい?」ってメールをしたら、「ダメ」と。ここまで来てダメなのかと、そこから一人でファミレス行って、一人でビールを飲んでいたり…そういった意味で、言われなくても私なりに工夫して察知して、アクションを起こしています。


後藤 ありがとうございます。

 

佐藤さん、子育ての協力とか、家事の協力のところのアンテナはちょっと鈍いんだけれども、奥様に対するアンテナは鋭いですよね~、察知力。

佐藤 はい。私にとって最大の顧客は誰かといいますと、やはりかみさんかなぁと。子供をあやしながら、子供と遊びながら、かみさんのことをチラット見ながら、「これでいいのかな?」みたいな。大人なのに、かみさんの顔色うかがっているという感じなんですけれどもね。

 

後藤 本当に貴重なお話ありがとうございます。今日、ご家庭に帰られてから、どうぞ円満に…


佐藤 消えかけていた火種がまた、燃え盛るかも…


後藤 今こうしてお話を聞いてみると、そもそも女性性と男性性というものがあるんですね。


これはいい悪いではなくって、女っていうのは子供の面倒を見ながら、お鍋に火をかけ、お魚を焼きながら、電話が鳴ると電話を取りにいったり、同時進行でいくつもの行動をこなすっていうことができる、その能力っていうのは女性の方がずっと優れているんですよね。


女性って言うのはそもそも母性っていうものを本能的に持っていますので、誰に子育て方を教わらずとも、今わが子に何をしたらいいかというのを感じられるわけなんですよ。

 

でも、男性っていうのはそれが無いんですよ。無いって0ではないですけど。

 

どうしたらいいのかなっていうのを、男性は感じるんじゃなくて、やっぱり考えるんですよね。特に、男性は1つのことに集中して没頭する。つまり、昼間会社で仕事に集中して没頭してというふうであれば、なかなかその間にわが子は今どうしているかということを同時進行で、ましてや感じるなんていうのは難しいと思います。

 

ママはその本能的な母性のところで、子供と離れていても「今どうしてるかな?」って感じるんですよね。そういう、母性と父性、女性性と男性性の違いっていうのはそもそもありますから、いい悪いではなくて、そこを知った上で、うまく協力し合ってできたらいいと思うんですよね。

おそらく、今後、今日はお二人代表ですけど、おそらく多くのパパ達は「それをこういうふうにしてもらえるかしら」というふうに具体化してお願いした時には、「うんいいよ、やるよ」ということになるんでしょうか。

 

藤田 私の場合は率先してやっていますから、まぁいいんですけど。

 

とはいえ、具体的にこれをやってくれといわれたほうがわかりやすいなぁと思いますね。何をやったら自分の仕事を終えられるのかということを常に、仕事柄そうなんでしょうけれども、そういうことばっかり頭にありますので、これやってあれやってって、終わりの見えないことだとやりたくなくなってきて、「これやってくれ」と言われれば「はい」ということで、それだけやるようにと言われる方が好きかなというように思いますね。


後藤 佐藤さんも、そこら辺のところは、具体的に言われれば?


佐藤 そうですね。やっぱりいい大人が言われなきゃやらないのか、というのは一点あると思うんですけど、TO DOリストみたいにすべきことが羅列されてると、男としては左脳で判断して非常にやりやすく、ちゃかちゃか動ける。それで、今日の実行リストはすべて終わった、じゃぁ寝ようみたいに非常にわかりやすいのかもしれないですけど、どちらかというと私の妻はイラストレーターをやってますので、右脳が発達している彼女にしてみれば、そんな素人が左脳に訴えるような箇条書きにしなくてもわかれよ、というふうに思っているんだろうなぁって思います。


私としては、その指示を仰ぐことはなるべくやめようと思いながら、色々と努力はしているつもりですけれども、ある程度やって欲しいことを具体的に言ってもらえると、後でわかりやすいかなぁと思いますね。

 

後藤 増山さん、子育てとか家事のお手伝いが、うまく繊細にキャッチできないという男性に対して、やっぱりママとしてはどうなんでしょう。ひとつひとつ、「これをやってもらえる?」「こういうことふうにやってください」っていうこと自体どうなんでしょう?

 

増山 やっぱり、「指示されないとできないのかよぉ」というふうになっちゃうんですけど。


あと、家事に終わりはないのです。「どうやったら終わるんだろう」って思うかもしれないですけど、女の立場から見ると、「終わりはないんだよ」って感じですか?


後藤 そうですよね、限りがないですよね。これ、いつまで続くんだろう?ってね。


ありがとうございます。

色々と本音で、特に佐藤さん本音バリバリ話していただいてありがとうございます。

 

 

妻へのメッセージ・夫へのメッセージ

 

残りのお時間も少ないので、今日こういうトークショーをして、最後に今、奥様に何か伝えるとしたらどんなことを伝えられるのかなぁと。増山さんもご主人に、どんなことを伝えられるのかなぁと、ちょっとそのようなことをお話いただけるとうれしいんですけれども。

 

藤田 そうですね、妻にメッセージということであれば、先ほど後藤さんの方から女性性、男性性というお話もありましたけれども、確かにそうなかなぁと思っています。


それはやっぱり、特に睡眠等を例にすると一番わかりやすいと思うんですけど。嫁は子供がちょっとでも泣くとぎゃっと起きて、やれおっぱいやったりっていうのを経験していて、私なんかは横で子供がぎゃんぎゃん泣こうが、ずっと寝てると。朝、「昨夜は大変だったのよ」といわれても、「そうなの」というくらいしか反応できない自分がいる。

 

性別が違うとはいえ、母親としてすごく大変なことなんだろうなぁと、大変さを理解しているつもりではいるんですよ。

一方で、やはりあまり無理はしないで欲しいなぁと思ってもいます。よく育児の教科書とか色々あって、そういうのを見て、子供にアイスクリームやっちゃいかんとか、ゲームセンター行ったらいかんとか、色々書いてあると思うんですけど、そんなことはないと。

 

僕は、土日になれば、息子にアイスクリームいっぱいやって手なずけてますし、そんなことをやりながら、少ない時間を埋めているわけなんですけど。そういう意味では、私自身も育てれられたとき、そんなに父に言われたり母に言われて育った記憶もないですし。

とはいえ、こんなふうにしゃべられていただく機会を与えられる生活をしておりますので、そういった意味ではあまり無理せずに、ある程度のびのびと、僕の哲学もわかって欲しいなぁと思いながら、子供とおります。


後藤 ありがとうございます。
佐藤さんは、奥様に伝えたいなぁと思うことは?

 

 

言わないことは私にはわからないので、基本的には言ってもらいたい。自分からも言うようにして、コミュニケーションを図っていきたいなぁと思ってます。


これも片思いかもしれなせんが、以前よりは比較的人間関係が修復したんではないかと私は思っているので、なるべくならこのまま楽しく暮らしましょうよ、ということをメッセージとして伝えたいです。


後藤 ありがとうございます。増山さん、いかがですか?

 

増山 昨日の出来事なんですけど、私はこの子育て応援メッセの実行委員をやっていて、5時からコンサートもあったり、もちろん団体職員の仕事もあって、もうてんやわんやの感じだったんですけど、夕方私がお迎えに行っている時に主人から電話があって、「明日本番だし、大変だったら今日ご飯作らないで夜外食しようか?」と言ってくれたんです。それは非常に状況を察知し、具体的な施策を与えてくれたっていう、「素晴らしい!あぁ、わかってたんだ、明日本番だって」って思って。

 

今日も娘を連れて色々見てくれているわけですけど、結局私がやりたいこと、個人的に興味あることをできるのも、今子供にすごく手がかかってる時期で、主人が見てくれてるからできるんだなって思って。
昨日優しくしてくれたから、私も非常に優しい気持ちになって「ありがとう」っていう気持ちになったんですけど。でも、欲を言えば、もうちょっと早く気づいて欲しかったかな。


このパパの子育てトークを準備している段階で、私自身も色々気づかされることが多くてさっきも言っていた、結婚も10年過ぎると業務連絡になってくるんですけど、そうじゃなくって、やはり「ありがとう」とか「助かった」とか言って、気持ちよく動いてもらうっていうのが妻の知恵なのかなぁって思うんですけど、いかがでしょうか。なかなかできないですけど。

 

後藤 本当にね、動物の中でも言葉を使うのは人間だけですから、この言葉の使い方って言うのをどうぞ大事ね、うまく気持ちよく使っていった方が絶対に人生お得なんです。

 

こうしてくれるって頼むのは、どなたでもできるんだけど、その後のフォローですよね。やってくれて、その次、自分の気持ちを伝えるということ。「やってくれてサンキュー」って、「やってくれて私うれしかった」とか、「すごく助かった」とか、そういう気持ちをご主人様に伝えると、もっともっと充実した関係になると思いますし、また、一番最初には、パパたちが社会の荒波の中で毎日家族のために働きに出てくれている、そういうストレスを抱えながらも頑張っているパパたちにね、私達ママ達が「パパ、いつも頑張ってくれてありがとうね」って、多分すごく恥ずかしくて言いにくい言葉だと思うんですけど、こういう言葉をかけるとかけないのとでは人生全然違ってくると思いますですから、恥ずかしくてもなんでも、この言葉を伝えてみる、相手に気持ちを伝えてみる。どうぞ、やってみて欲しいと思います。


そのやりとりは皆さん今できているのでしょうか?

 

藤田 いつも言ってますよ、「ありがとうございます」って。
そういう意味では。今後ちゃんともう少し伝えたいなぁと思います。増山さんの旦那さんの話じゃないですけど、もっと確かに、気の利いた一言が言えると、明日の夜はハンバーグとか出てくるかもしれませんので、そういった意味ではもうちょっと一言一言しっかりと言っていきたいなぁと思います。

 

佐藤 言葉に出して表して、感謝の気持ちとかっていうことで、「ありがとう」みたいのは、やっぱり言えてないかもしれません。
「ありがとう」よりも真っ先に出てくるのは「すみません」ですね。そういった面会ですとか、誤りですとか、「ごめんなさい」メールみたいのは非常に得意なんですけど。やっぱり「ありがとう」って、もっとプラスのメッセージをもう少し用意したいなぁと思います。

 

後藤 ありがとうございます。

 

増山 やっぱり、私も「ありがとう」って言わないでいると、なかなか言い方がわからなくなっちゃうっていうか、空々しくなっちゃうっていうか、だからその辺をうまく、女性だったら可愛く言えるのが得なのかなぁって思うんですけど。本当、10年も過ぎてくると、照れくさいですが…。


後藤 多分、「ありがとう」「うれしかったわ」「うれしかったぞ」って言われて、嫌な人っていないと思うんですよね。よっぽど皮肉じゃない限り。
だから、是非そういうことで、もっともっとこの魔法の「ありがとう」って言葉を使って、コミュニケーションを充実させていくことが、結局子育てや家事の、パパの協力ってことにも繋がってくるのかなぁと思います。

 

今日はありがとうございました。そろそろ時間になりましたので、これで終了したいと思います。また、このパパの子育てトークは今後も継続してやっていきたいと思っておりますので、またどうぞ皆さんご期待ください。

佐藤 基本的に自分以外の人は他人なので、やっぱりかみさんも元々は違う環境で育って、違う親のもとで育って、違う高校生活なり大学生活を送って、まぁ大学生活は一緒だったんですけど、そういったことで他の人っていうことで、価値観がやっぱり違うっていうことで、そういった二人が一緒に住むには、ずいぶん話さないといかんなぁと思います。

 

佐藤 そうですね、いい大人なんだから言われなくてもやれよという、かみさんの視線を毎日感じながら生きてるんですけれども。やっぱりコミュニケーションって、人と人との間で言って初めてはわかることってあるので、ほとんどそうじゃないかなと思うんで、やっぱり言ってほしいなぁっていうのはあるんです。
すると、お話を聞くことによって、奥様の考えや気持ち、そういうものが少しずつでもわかってくるということですよね。気持ちや考えがわかってもらえると、人間誰しも気持ちが安定しますので、多分そういうことで藤田さんの奥様は気持ちが安定して、子育てにまた取り組めると、そういうことなんですかね。